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企画・主演 大地 康雄

私は北海道剣淵町にある絵本の館で、 大人が子供たちに読み聞かせをしている 光景を見る機会がありました。 どの子も目を輝かせて聞き入り、あるお話では涙を浮かべ、 また別のお話では全員がひっくり返って大爆笑していました。 あの時の子供一人ひとりの輝く瞳には明るい未来があり、 絵本には人への思いやり、豊かな感性、言語力や想像力 といった人が生きていく上で最も大切な根本の力を育む すばらしい力があるということを教えられ、感動しました。 そして絵本は親と子の絆をも深め、 大人になってもお互いに一生の財産として残ります。 昨今は親が生身の心の交流を放棄した結果、 悲惨なニュースが後を絶ちません。 どの人も親に愛された記憶こそが 後の人生を生き切る力の根源になるのです。 次世代を担う大切な子供たちのため、 ぜひこの作品の思いをご理解いただき、 ひとりでも多くの人にお伝えいただければ幸いです。

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絵本作家 あべ 弘士

大地さんが「絵本」の映画をつくるという。 絵本の創作をしている者として聞き捨てならぬ話だ。 しかも「絵本」が主役を張るらしいのだ。 えーっ?どんな話になるの? 半信半疑で、ある日ロケ地の剣淵町に見学にいった。 以前からわたしは“絵本”と“映画”はよく似ていると思っていた。 一冊の絵本がページをめくってゆく。話が展開し、風景が巡り、 主役、脇役が交差し、クライマックスとなり、終る。そして余韻。 絵本はその脚本、主演、脇役、大道具、小道具、美術、そして演出、監督を たった一人ですべてやる。音楽がないくらいか。映画はおおぜいでやる。 違いはそんなところかな、などと高をくくって、ロケを見た。 わたしの考えは甘かった。おおぜいだ。大勢なんてもんじゃない。 スタッフ、プロデューサーが群れて、まるでサル山の猿のようだ。 この作品にかかわっている人々はまだまだたくさんいる。 人間性の魅力が映画を創り出している。大地さん、監督が うらやましく思い、絵本を創るに“初心”という言葉を思った。

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女優 中井 貴惠

一冊の絵本を真ん中に親子で過ごす あたたかい時間。それはたとえ短くても、 忘れることのできない貴い時間となることがあります。 この映画はまさに「絵本」で結ばれた父と娘の物語。 家庭の事情で離ればなれになった 父と娘をつないだものは一冊の「絵本」でした。 映画の舞台の一つとなったのが北海道剣淵。 ここは絵本の里として知られる町です。 「絵本の館」のその蔵書数もさることながら、 仕事の合間に大人たちがする読み聞かせは町の宝。 身を乗り出し物語にどっぷりとつかる子供たち。 そして読み聞かせる大人たちの楽しそうなこと! 私も一出演者としてこの剣淵でのロケを存分に楽しみました。 スタッフ、キャストの熱い思いのこもった映画 「じんじん」どうぞお楽しみください。

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ノンフィクション作家 柳田 邦男

ある家庭で、3歳の男の子がお母さんに絵本『ちょっとだけ』を読んでもらっていた。 主人公のなっちゃんは、お母さんが赤ちゃんの世話で手いっぱいなので、 自分で牛乳をコップにつがないといけない。こぼしながらも、ちょっとだけつげた。 その場面で、男の子は「すごいね!」と感動を表し、「ぼくもー」といった。お母さんは、ハッとなった。 こぼしたことをとがめ、生まれてはじめての挑戦でちょっとだけでもできたことへの感動を 共有もせずほめもしない自分に気づいたのだ。これではこどもの成長を阻害してしまう。 私は今、「おとなの再生、こどもの成長」というキャッチフレーズで、 おとなもこどもも一緒に絵本に親しむ生活文化を家庭や地域に根づかせる活動をしている。 とくに家で親子が本を読む「家読(うちどく)」運動の支援に力を入れている。 その草分けというべき剣淵町の絵本をめぐる親と子の物語が映画化されると聞き、100万の援軍を得た思いだ。 絵本の力はすごい。日本中が絵本の町になったとき、日本は真に心の豊かな国になるだろう。